日本メディカル ニュートリション協議会は、急速に発展している
治療食品業界市場の「適切な情報提供」と、「公正な市場環境の創造」を
目指すと共に、医療・福祉へのさらなる貢献も目指しております。

「日本メディカル ニュートリション協議会自主規範」

医療・介護・福祉関連施設等で使用されている食品(以下、いわゆる治療食品という)の需要がますます拡大する中、日本メディカル ニュートリション協議会はいわゆる治療食品全般の認知度・普及率の向上のため、適切な情報提供のあり方並びに制度上の課題等について調査・研究を積極的に推進するとともに、特別用途食品制度の更なる活性化に繋げるべく、関係諸団体と連携して行政への要望活動に邁進している。
このような状況において、会員会社は適切な産学連携のもと、社会に対して高い信頼関係を構築し、利用者の立場に立った最適な活動が行われるよう努めることが求められている。また、いわゆる治療食品の製造販売企業の活動は食事と栄養を通じて利用者の生命に深くかかわることから、高い倫理性と透明性を確保し、いわゆる治療食品業界全体の健全な育成・発展に寄与する必要がある。
「日本メディカル ニュートリション協議会自主規範」(以下、本規範という)は、このような観点からいわゆる治療食品製造販売企業の基本的責務を明確にするとともに、プロモーションにおいて遵守すべき行動基準を明示し、会員会社が本規範に則したプロモーションを行うことを目的に策定したものである。会員会社は、具体的な記載の有無にかかわらず、本規範の趣旨に則しているかどうか常に判断して活動することが求められる。

第1章 製造販売企業としての基本的責務

日本メディカルニュートリション協議会会員会社は、食事と栄養を通じて利用者の健康維持・改善並びに疾病の予防・治療に深く係る活動を行うことに鑑み、以下の理念を遵守する基本的責務がある。
○会員会社は、利用者の健康と生命並びにQOL向上に貢献することを最優先として活動する。
○会員会社は、企業の社会的責任を果たすべく各種法令と社会的倫理性を遵守した活動を行う。
○会員会社は、利用者への安全・安心な食事と栄養補給をサポートするべく、医療・介護・福祉現場のニーズに即した適切な品質の製品を開発し提供する。
○会員会社は、適正な手段により取得した科学的根拠に基づき、透明性のある客観的な方法による情報提供を行う。
○会員会社は、栄養療法並びに食事療法の発展に貢献するため、医療・介護・福祉関係者、利用者団体等との信頼関係を構築し、誠実で真摯な活動を行う。

第2章 啓蒙・普及活動

会員会社は、コンプライアンスを徹底し、公平性と透明性を有する適切な啓蒙・普及活動を実践する。
○会員会社が自ら発信する情報は、法令・指針等に準拠していることを十分精査し、「プロモーション活動に関する細則」の規定を遵守して、適正な方法により利用者に提供する。
○利用者に提供されるプロモーションツール(カタログ、パンフレット、広告、文献等)の掲載内容において、他社製品との比較優位性、或いは他社製品の誹謗・中傷等を示唆するような不適切な情報は提供しない。
○パッケージや製品パンフレット等に表示する内容は、表示に関する関連法規を遵守し、不適切な表示は行わない。

第3章 医療・介護・福祉関連施設等に対するプロモーション活動

プロモーション活動を行う会員会社の社員は、栄養療法並びに食事療法を担う者としての社会的使命と、企業を代表して情報提供する立場を十分に自覚し、誠実で良識ある活動を遂行する。
○自社製品の知識はもとより、周辺の医学的・栄養学的知識の習得に努めるとともに、それを正しく提供できる能力を養う。
○関連施設を訪問する際は、当該医療機関が定める規律・規定を遵守する。
○他社及び他社製品を誹謗・中傷しない。
○プロモーション活動用の印刷物や広告の作成と使用、並びにサンプル提供、接待などは、「プロモーション活動に関する細則」の規定を遵守する。

第4章 本規範の管理

本規範の管理は、日本メディカル ニュートリション協議会に設置する自主規範検討委員会が行う。
自主規範検討委員会は、本規範違反被疑事案に対して、当該会員会社との協議の上、新たな改善策を提案するなど違反防止に向けて注意を促す。また、本規範に関する問合せや苦情申立てに対しては、協議の上誠実に対応する。


附則 本規範は、関連法規及び細則の制定や改定、或いはプロモーション活動の変化に応じて改定していく。
本規範は、平成25年10月1日から施行する。

「プロモーション活動に関する細則」

Ⅰ.プロモーション資材について

1.会員会社が作成するプロモーション資材とは、プロモーション用印刷物(製品カタログ、パンフレット、使用方法の紹介資料、製品を用いたレシピ資料など)、専門誌・雑誌・新聞等への広告、ウェブサイト、スライド、動画等のプロモーション用視聴覚資材、商品サンプル、試供品およびその他のプロモーション用資材(ポスター、展示パネル、DVD、インターネットコンテンツ、電子メールなど)であり、これらの資材の作成と使用に当たっては各種法令に従い、記載内容を科学的根拠に基づく正確、公平かつ客観的なものにすることが望ましい。

2.いわゆる治療食品の中で、消費者庁許可の特別用途食品ではないものは、プロモーション資材への表示において、特別用途食品であるかのような誤認・誤解を生じないように留意しなければならない。即ち、特別用途食品ではないものについてパンフレット、広告等のプロモーション資材を作成する場合は、下記事項のいずれかに該当する表示をしてはならない。(「特別用途食品の表示許可等について」平成23年6月23日消食表第277号より)
  • 単に病者に適する旨を表示したもの。例えば「病者用」、「病人食」、「患者用」等。
  • 特定の疾病に適する旨を表示するもの。例えば「糖尿病者用」、「腎臓病食」、「CKD向け」、「透析食」等。
  • 許可対象食品群名に類似の表示をすることによって、特別用途食品であるとの印象を与えるもの。例えば、「低たんぱく質食品」、「たんぱく低減食」、「総合栄養食品」、「嚥下困難者用食品」、「嚥下困難食」、「嚥下障害者食」等
    但し、たんぱく質含有量が低い旨を表示する食品において、「本品は、消費者庁許可の特別用途食品(病者用食品)ではありません。」との文言を記載して、栄養成分表示を行っているものに限り、「低たんぱく質(通常の○○(食品名)の○%)又は「低たんぱく質(通常の○○(食品名)に比べて○%少ない)」との表示ができる。

3.プロモーション資材に記載する表現は、容器包装の表示内容と整合性のとれた表現にすることが望ましい。なお、容器包装に表示されている用語の説明や注釈等は記載しても差し支えない。

4.会員会社の社員が使用するプロモーション資材は、会社の責任のもとで審査等の手順を踏んだものを使用することとし、個人の判断のみで作成した資料は適切さを欠いている場合があるので使用しないことが望ましい。また、社内用として用いる研修用資料などの取扱いにも十分留意する。

5.プロモーション用印刷物や広告などにデータ(図表を含む)を引用する場合には、原著の真意を正確に伝え、歪曲、誇張、不当な協調、削除などによって誤解を招く内容とならないよう留意し、根拠となる出典先を明らかにする。例えば、自社品にとってたまたま都合の良い例外的なデータを取り上げ、それが一般事実であるかのような印象を与える表現は、歪曲や不当な強調にあたるので十分留意する。

6.プロモーション資材において、自社品の有用性に関して、世人の認識に相当の影響を与えるであろう有識者、医療・介護・福祉関係者が指定し、推薦し、指導し、又は選用している旨の記載は行わないことが望ましい。

7.医療・介護・福祉関係者の求めに応じて提供する医学・栄養・薬学的文献等は、プロモーション資材に該当しないが、これらを企業が主体的に配布する場合はプロモーション資材の対象となる。尚、医療・介護・福祉関係者の求めに応じて提供する医学・栄養・薬学的文献、或いは学会抄録などを、社内で印刷したりコピーすることは著作権法違反となるので十分留意する。

8.医療・介護・福祉関係者又は有識者が執筆、編集、作成した出版物、パワーポイント資料、講演資料、スライド等の一部或いは図、表などを、プロモーション資材に使用する場合は、著作権者の権利を十分に認識し、原則当該者の承諾を得たうえで出典先を明記することが望ましい。

9.他社品との比較データを作成しプロモーションに用いることは、他社の誹謗中傷、或いは自社品の優位性を強調する偏った資材と見なされる恐れがあるので十分留意する。但し、他社品において公表されている最新情報の単純な列記(製品組成や特長などの一覧表等)については、意図的な比較項目の選定や強調等を行わず、客観的に公平な内容であれば差し支えないものとする。また、医療・福祉従事者の利便性に資することを目的に、やむを得ず他社品と比較する場合は、試験・比較・抽出方法について公平性・中立性を担保したうえで当該資料を提供することを拒まないものとするが、そのデータがプロモーション用に使用されないよう取扱いには十分留意する。

10.医療・福祉従事者に提供された他社品との比較データにおいて、当協議会は公的機関などの第三者、若しくは会員の求めに応じて、データ提供した会員会社に対して前項の「試験・比較・抽出方法に関する公平性・中立性の担保」について調査ができるものとする。

11.販売代理店や卸が作成して配布する製品のプロモーション用資材については、当該企業が適正な資材となるよう作成先に対して指導協力するものとする。

12.他社および他社品を誹謗中傷しない。他社や他社品のネガティブ情報の提供は、根拠の有無に係らず誹謗中傷にあたるので十分留意することが望ましい。

13.医療・介護・福祉関係者の求めに応じて提供する医学・栄養・薬学的文献等において、自社品に有利となるような効能効果が記載された文献を当該品のパンフレットと共にセットで配布したり、郵便宣伝物(DMなど)として送ることは、効能効果を暗示した取引誘因に繋がるおそれがあるので十分留意する。

Ⅱ.営業活動全般について

1.販売・営業活動において、常識を逸したお試し期間の設置など、採用のための強引な販売活動は避け、健全かつ適正な営業活動に努める。

2.販売代理店や卸に対して常に公平かつ対等な立場で接し、他社や他社品の排除行為・不当で差別的な取扱い・事業活動の妨害などの不正行為を行わないよう努める。

3.医療・介護・福祉関連機関に対し、自社製品の取引を不当に誘引する手段として、常識的範囲におけるサンプル・試供品の提供を除き、景品表示法の範囲を超えた景品類(顧客を誘引するための手段として、取引に付随して相手方に提供する物品、金銭等)を提供しない。

4.医療・介護・福祉関係者を対象に行う自社製品に関する講演会や調理実習会等は、出席者に製品情報を提供する学術的なものとなるよう努める。開催場所は目的に適う適切な場所とし、会に付随しての飲食や懇親行事、贈呈品を提供する場合には華美にわたらぬよう留意する。
尚、調理実習等で他社品を用いて自社品の優位性を比較することは、他社品の誹謗中傷に繋がるおそれがあるので慎むことが望ましい。

5.症例報告会・講演会・患者会・調理実習会等における参加者名簿、ウェブサイト上での問合せ情報、お客様相談室の顧客情報等からの個人情報の取得・利用・取扱いにおいては、個人情報保護法に則った適切な管理体制を構築し推進する。

6.取引先や有識者などとの接待や贈答品の授受は、健全な商習慣や社会的常識の範疇を逸脱しないよう十分留意する。即ち、取引や推奨・購入の判断の中立性を妨げると受け取られるような華美にわたる接待や物品や金銭等の提供は慎むことが望ましい。

7.医療関連機関等に訪問する際には、当該機関が定める規律・規定を遵守する。特に、会員会社は、国家公務員をはじめとする公務員および「みなし公務員等」では、倫理規定等により、物品の授受及び金銭類の授受が規制されているので、社員に十分周知徹底させる。また、公務員以外でも、所属機関、所属組織で独自に倫理規定を定めている場合があるので、社員に対し十分な確認とその内容に配慮した行動をさせることが望ましい。


附則 この細則は、関連法規の制定や改定、或いはプロモーション活動の変化に応じて改定していく。
この細則は、平成25年10月1日から施行する。